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賃貸住宅の退去時において、原状回復費用負担のトラブルが度々起きています。
トラブルになる原因は、建物・設備の損耗及び毀損が経年劣化によるものか、賃借人の管理不十分によるものか、線引きが難しいところにあります。
借り主には「善管注意義務」が発生し、民法第644条に「受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う」と明記されています。住宅の場合は「掃除などをしっかりしてキレイに使いましょう」という意味です。
借主がその義務を怠ったかどうかというところですが、例えば床について。
家具の設置による床・カーペットのへこみ、設置跡については通常の使用による損耗と捉えるのが妥当とされていますが、飲み物等をこぼしたことによるシミ・カビや雨の吹き込み等による色落ちは賃借人の善管注意義務違反と考えられます。ただし、これは一般的な例示であり、例外も多くありますので一概には決めることができないのが現状です。
また、契約時に交わす「特約」も問題になりがちです。
「特約」のように両者が合意して交わした契約の効力は強く、常識の範囲内での契約ならば有効になる可能性が高いのですが、賃借人に対して一方的に不利な特約とみなされると常識の範囲内と認められないケースがあります。
国交省のガイドラインにで「特約」が有効になると解釈されるのは
1.特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
2.賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
3.賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること
できる限り避けたい敷金トラブル。敷金について賃借人が「理解していなかった」ということのないように、契約時に十分理解を得るようにすることはもちろんのこと、賃貸人も善管注意義務について理解を深めておくことがトラブル回避法の一つだと考えます。
国土交通省より発行されている「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」はこちらよりご確認ください。