2013年9月4日

【宅建業者の報酬額受領規定違反】  自治体で異なる行政処分

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宅建業者が宅地または建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬額には規定があります。規定とは宅地建物取引業法及び国土交通省告示によるものです。

 

規定に定められた報酬額を超えて報酬受領したり、「広告料」という名目を別の名目に変更して受領したりと、規定に違反することが不動産業界では暗黙の了解として慣習化しています。

 

しかし、東京都では2010年度以降、6件の業務停止の行政処分が出ました。

同じ事例の場合でも各自治体で異なる判断を下していることが問題視されています。

 

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神奈川県宅建指導グループでは、宅建免許の新規交付時または更新時に「賃貸借契約における広告料の取り扱いについて」と題した書面を同封し、広告料に関して注意を促しています。

高知県は、宅建業者の免許更新時に各事務所を訪問、調査を行っています。違反が見つかった場合には、「業務停止」ではなく、「指示」という処分を下しています。「指示」とは、行政処分の中で業務停止よりワンランク軽い処分となり、業務に対する改善指示をだすものです。

 

では、なぜ広告料受領について規定に違反することが慣習化しているのでしょうか。

 

宅建業法上、賃貸仲介の仲介料の限額額は貸主借主双方からの合計で賃料1ヶ月分+消費税です。
更に国土交通省告示により、居住用の場合は借主又は貸主の一方からはその承諾を得ている場合を除き賃料0.5ヶ月分+消費税が限度額となっています。

ただし貸主から特別に広告してほしいという依頼があれば仲介料と別途に広告料を受け取っても良いとされています。

 

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ところが、借主からは仲介料として賃料1ヶ月分をよく説明しないまま受取り、その上で貸主からはたとえ特別な依頼がなくとも「広告料」の名目で賃料1ヶ月分+消費税を受け取る商習慣が広がっています。

報酬規定が現状に合っていないことが原因とされています。

 

定期借家制度が創設され、ファミリー向け賃貸や事業系賃貸を中心として長期間の賃貸借契約が結ばれるようになりました。

 

定期借家契約を結んだ場合、規定通りに報酬をもらうとすれば契約期間に関係なく仲介料は1ヶ月分+消費税です。
契約を繰り返すことによって仲介料を得ることができる仲介業者にとって、契約が長期に亘る場合は、たとえ貸主借主にとって都合が良いとしても報酬額が減るため困ります。

 

規制を厳しくするより先に報酬規定の改訂の必要性を訴える声が上がっているようです。

しかし今後さらに規制が厳しくなることが予想されるでしょう。