2015年12月10日

【耐震診断の義務】  耐震改修の促進に関する法律

スタッフコラム(木戸)

この記事は 2分56秒 程で読んで頂けます。

先日、お客様から物件取得の判断について相談があり、調査を行った経緯があります。

 

この法律は、平成7年1月の阪神・淡路大震災を踏まえ、地震に対する建築物の安全性の確保を目的に制定されました。
また、発生の緊迫性が指摘されている南海トラフ巨大地震を想定し、平成25年5月29日に改正され、同年11月25日に施行されました。

 

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内容としては、病院・店舗・旅館等の不特定多数の方が利用する大規模建築物等を対象として、耐震診断を行いその結果を報告する事が義務付けられております。
限られた用途と大規模建築物に限られているので、一般的に収益物件として売買されている不動産にはあまり関係してこないのですが、大阪府が指定している広域緊急交通路の内、優先して耐震化に取り組む路線として指定されている道路に接道している一部の物件は注意が必要です。

 

広域緊急交通路とは、地震発生時に緊急車両や物資運搬の交通を確保するべき道路の事を指します。
大阪府では、国道1号線・国道170号線・国道176号線・国道2号線・国道25号線等が広域緊急交通路に指定されております。

 

広域緊急交通路に接道している建築物の内、昭和56年5月31日以前に着工した建築物で、倒壊時に道路を閉塞する可能性があるものは、用途や規模を問わず耐震診断の結果報告義務が課せられます。すなわち一般的な共同住宅も対象となります。

 

倒壊時に道路を閉塞する可能性がある建築物とは、正確な事は下記URLをご参照いただきたいのですが、大雑把にいうと前面道路幅員の半分程度の高さがある建築物が対象となります。

 

参照 ”大阪府広域緊急交通路沿道建築物耐震化促進事業の概要”

 

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私が相談を受けた物件は高槻市の国道170号線に面しており、国道としては比較的幅員が狭く、高さだけで言うと接道している多くの建築物が対象になっている状態でした。

耐震診断は、図面等の資料が無い場合はかなり費用が掛かることがあります。
耐震診断結果は来年平成28年中の報告が義務付けられており、報告しなかった場合は罰則の適用もあります。

また、どういう結果だとしても対象物はすべて公開されます。現に金融機関から対象となっているかの問い合わせもあるとの事でした。

 

公開されるということは、耐震診断の結果、耐震診断が必要となった場合、それも含めて公表されますので、場合によっては担保評価やコンプライアンスに影響が出る可能性もあるのでは無いかと思います。
(今の所、耐震診断のみの義務付けとなっております。)

 

耐震診断の補助金制度もあるのですが、基本的に延床面積の規模に応じて多くだされる仕組みとなっており、いわゆるペンシル型物件にはあまり補助金が期待できない仕組みの様です。

コンプライアンス意識が高まっている中で、物件運営に関する法定点検や、違反物件にも法改正により今以上の罰則や履行義務を課せられる事もあるかも知れませんので、法改正などの動向にも注意が必要かも知れません。