2020年1月8日

お部屋の退去の際の原状回復費用

スタッフコラム(中瀬)

この記事は 2分30秒 程で読んで頂けます。

いつもお世話になっております。

プロパティマネジメント部の中瀬です。

今回はお部屋の退去の際の原状回復費用についてのコラムとさせて頂きます。 

賃借人が居室の賃貸借契約を解約し退去される際には、通常、貸主または委託を受けた管理会社が退去立会いを行います。

退去立会いでは、賃借人立会いのもと、室内の壁や天井のクロス、床材、建具、設備などに異常や故障がないかを確認します。

その中で、賃借人の故意、過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗や毀損などが見られた場合には、賃借人負担での原状回復費用を請求する事があります。

これまでは、賃借人の原状回復義務については民法に明確な規定がなく、一般的には国土交通省のガイドラインを基準に退去立会いによる請求などがなされてきましたが、来たる民法改正により、以下のように明文化される事となりました。

 

(賃借人の原状回復義務)

第621条

賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

 これまでのガイドラインは、過去の判例に基づき作成されていたものの、あくまで指針として存在していたもので、法的拘束力がない為、管理会社と賃借人との間で認識のズレやトラブルが発生する事も多くありましたが、上記のように明文化される事により、退去の際の原状回復費用について紛争を防止する事が期待されています。

 しかしながら、上記のような条文が定められたとしても、退去立会いの際に全くトラブルが発生しないとは言い切れませんので、賃貸借契約を締結する際には、

 ・賃貸借契約の特約に、賃借人が十分認識、予測出来る形で原状回復の範囲、費用を明記し、合意しておく。賃借人にとって一方的に不利となる特約は消費者契約法により無効となる可能性があります。

 ・賃貸借契約書に賃借人の負担区分がわかる表を添付する。

 ・入居引き渡しの前に室内写真を撮影し、保管しておく。

 ・入居の際、賃借人より室内状況のチェックシートを提出して頂く。

 

上記のように、貸主・管理会社としては、賃借人の為にも、出来る限り退去の際にトラブルが発生しないよう、契約・入居の際に準備をしておく必要があると考えます。

 

今回のコラムは以上となります。

最後までお付き合い頂き、有難うございます。