2012年7月11日

ゴールドマンサックスの私募リート組成

メルマガバックナンバー

この記事は 2分52秒 程で読んで頂けます。

先週の不動産ニュースは”為替変動による不動産投資への影響”と題し円高の今、外資系投資家の身動きが取り難くなっており、マーケットの活性化が停滞しているというお話を致しました。

 

さて、今週の不動産ニュースは皆様も新聞やニュースなどですでにご存じの方も多いと思いますが、”ゴールドマンサックスの私募リート組成”についてお知らせ致します。

 

ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントが『私募リート』を組成し、当初、250億円規模の資金を集め、3年後をめどに1000億円、中長期的には3000億円規模の運用を目指すとの発表がありました。

 

そのポートフォリオは、
総資産のうち6割以上をオフィスビルとして、住居物件が3割以下、商業施設1割以下の比率で投資対象とし、対象エリアは東京を6割以上とし、その他地方主要都市も視野に入れているとの事です。

 

物件規模はオフィスビルの場合30億円以上、住居物件の場合は10億円以上が目安となるようです。

 

b8655dffe416951188be12cc2915ca6a_s

このタイミングでの私募リート組成の背景には、日本の不動産価格は下げ止まり、オフィスを中心に東京の投資市況は良好との判断があるようで、いわゆる2012年問題に代表される新築オフィス大量供給による賃料下落リスクに対しても大きな懸念は抱いていない様子です。

 

もう一つの背景は、年金基金などを運用する機関投資家からの安定運用商品を求める要望もあったのではないでしょうか。

 
リートの分配金の利回りは5%程度と、国債の利回りが1%にも及ばないなかで、それを大きく凌ぐ配当が期待出来るわりに、投資リスクは意外に低いのが魅力と考えられているようです。
更に、私募リートで先行する国内大手不動産会社の運用成績が安定している事も後押しとなっていると考えられます。

 

今回の発表を受け、一部では海外資本による日本の不動産投資再開という風潮がありますが、今回の私募リートは国内の機関投資家から資金を集めて運用するもので、ゴールドマンサックスの直接投資は行わないようです。

 

また当面、海外投資家から資金を集めることもないようで、あくまでも日本国内の機関投資家を中心とした資金を運用することを目的としており、本格的な海外資本の日本の不動産への投資はもうしばらく時間がかかるのではないでしょうか。

 

 

私募リートとは
非上場オープンエンド型不動産投資法人(私募リート)とは、投資法人の仕組みを利用して、不動産または不動産信託受益権の運用を行う不動産ファンドの一つであり、近年日本でも運用が開始されています。
私募リートは、投資の評価に不動産そのものの評価に基づく基準価格を用いる事で証券市場の要因を排除できる特徴や、投資期間が無期限であるという特徴を持っているため、年金基金などの長期安定運用というニーズを満たすことができる不動産ファンドとして注目され始めています。