2015年10月14日

【火災保険料の値上げ】  10年を超える新規契約の廃止も

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大手損害保険会社各社は、10月1日から火災保険料の値上げと、10年を超える新規契約の廃止を行いました。
損害保険料率算出機構が、2014年7月に火災保険の「参考純率」の改定を行い、これを受けた損害保険各社が火災保険の改定を実施しました。

 

改定の背景は、主に保険金の支払い増加によるものです。特に自然災害(台風、竜巻など台風以外の風災、雹災、雪災)や水漏れ損害(水漏れ損害や老朽化)の保険金の支払いが増加しています。他にも、地球温暖化により自然災害の将来予測に不確実な要素が増している、との研究成果が発表されたことなども今回の改定に関係しています。

業界全体の保険金支払額は、台風による損害が1989~2003年度の年度平均800億円から、2004~2012年度は同1000億円に増え、台風以外の風ひょう災害も2007~2009年度の累計約500億円から、2010~2012年度の同約1400億円となりました。

 

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では損害保険料率算出機構による改定率の例を見てみましょう。

参考純率における保険金額が建物2,000万円、家財1,000万円の場合の建物構造ごとに比較すると

●M構造(RC造等の共同住宅)
大阪府 : +12.0%
東京都 : +12.0%
北海道 : +7.2%
青森県 : +16.7%
福岡県 : +24.1%

 

●T構造(S造等の耐火構造などの建物)
大阪府 : -4.2%
東京都 : -0.2%
青森県 : +24.7%
島根県 : -6.7%
熊本県 : +26.5%

 

●H構造(木造住宅等のM、T構造以外の建物)
大阪府 : -16.0%
東京都 : -4.5%
秋田県 : +23.2%
香川県 : -20.3%
福岡県 : +28.7%

 

特に、M構造のマンションの値上げの比率が高くなっています。もともと木造に比べて保険料は安いのですが、マンションの場合には漏水事故がどうしても多くなり、その影響等もでているようです。

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構造ごとの他、契約期間の見直しも行われました。
これまで最長36年の長期契約に応じてきましたが、10年が最長となります。契約期間が長ければ、損害リスクが高まり保険金支払額も増える傾向にあることがその理由です。

保険料は契約期間が長いほど1年当たりの保険料が割安となるため、契約期間が短縮されることで実質の値上げにつながります。

一方、軽減策を導入する損保会社もあります。
築10年未満の建物や築11ヶ月内を対象とした築年数が浅い建物を対象としたものや、損害を受けた時に、自己負担でまかなう額(免責額)の上限を引き上げることで、保険料を抑えるなどの割引プランが予定されています。

また、2017年以降には火災保険とセットで加入する地震保険についても段階的な値上げが予定されています。

すでに全国平均19%の値上げが決定しています。

建物の構造や建築年などによっても事情が異なりますが、南海トラフ地震などの巨大地震の発生が想定されている太平洋側の一部エリアでは、最大50%の値上げが検討されています。

 

参考サイト : 損害保険料率算出機構