2013年4月10日

【不動産売買】  手付解除・違約金の注意点

スタッフコラム(木戸)

この記事は 2分24秒 程で読んで頂けます。

不動産売買の手付金は基本的に解約手付というものになります。解約手付とは、契約の相手方が契約の履行の着手を行うまでは、買主は手付金を放棄して、売主は手付金の倍額を買主へ償還して売買契約を解約する事が出来るものです。

ポイントになるのは、履行の着手をするまでとなっている事です。
自分が履行の着手を行っていても、相手方が履行の着手を行っていなければ手付解除は可能です。履行の着手とは、客観的に外部から認識出来るような形で契約の履行行為の一部をなした事、または履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をしたことと最高裁判決で解釈されております。

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・例
○履行の着手に当たらない
→売主の司法書士への登記手続きの委任

 

○履行の着手に当たる
→売主の抵当権抹消

 

履行の着手については、多くの判例があるように何を基準として履行に着手したのかで、売主・買主間でトラブルになるケースがございますが、手付金の解除期日を設定するケースが多いです。手付金による解除期日を設定すれば、そのあたりをはっきり出来るので分かりやすいです。

手付解除が出来なくなった場合は、違約金を相手方に支払って契約を解除する必要があります。違約金は売主が宅建業者で買主が業者で無い場合は、代金の2割を超える定めをする事は出来ません。
尚、違約金と損害賠償の予定の合算金額が2割を超える部分は無効となります。

重要事項説明書には「損害賠償額の予定又は違約金に関する事項」として表記があると思いますが、違約金と損害賠償額の予定は一般的には同じ意味合いとなります。(※民法では違約金は賠償額の予定と推定する旨を定めていますが、違約金とは別に損額賠償を特別に定めている場合には変わります。)

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尚、定められた違約金額は実際の損害額より少なくても、多くてもその定められた金額しか請求する事が出来ません。
逆に、損害賠償額の予定を定めなかった場合には実際の損害額となります。

不動産売買は非常に高額な取引です。

取引が順調に進んでいる時は、まさかトラブルになると思わずに軽い気持ちで進めてしまう事もありますが、いつ何が起こって手付解除や違約金の支払いをせざるを得ない状況になるか分かりません。
実際にリーマンショックの時には、融資が実行されずに債務不履行となった取引が多くありました。

しっかりと意味合いを理解して契約内容の協議を行う事が重要です。