2013年11月6日

【判例】  事故物件の告知をせずに賃貸した場合の訴訟

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物件の心理的瑕疵を告知せずに賃貸したことに対する、損害賠償請求訴訟が行われた裁判の判決がでました。

 

裁判では、マンションの一室で過去に自殺があったことを告げずに、その部屋を賃貸したのは不法行為だとして、部屋を借りた男性が家主に対して約144万円の損害賠償請求を求めました。

 
判決は「告知すべき義務があったのに、意図的に告知しなかった」として、家主側に賃料や慰謝料など約104万円の支払いを命じました。

 

家主は2011年5月に、兵庫県尼崎市のマンションの1室を競売で取得し、従来一人で住んでいた女性がその3日後に室内で自殺しました。
翌年の8月、家主は女性の自殺を説明せずに男性と新たな賃貸借契約を結びました。男性はその同月末に入居しましたが、近所の住人から自殺の話を聞き、翌日には退居しました。そして、その翌月20日に契約解除を通告しました。

 

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家主側の主張は「競売後の手続きは他人に任せており、自殺の報告を受けないまま部屋の明け渡し手続きを終えた」ということでしたが、裁判で「およそ有り得ない不自然な経緯という他ない」と退けられました。

 
その他、自殺した女性の遺体を警察官が搬出し、住人らが自殺と認識していたことなどを挙げ「一般の人でもこの部屋は居住に適さないと考える。部屋には、嫌悪すべき歴史的背景に起因する心理的な欠陥という瑕疵がある」と判断しました。それに加え、女性の死後に家主が部屋のリフォームを指示した経緯から「知らないことは有り得ない」と指摘しました。

家主側は控訴の方向で検討しているようです。

 

今回のケースは、家主側に告知すべき義務を逃れたのが意図的であった要素が強かったと判断され、損害賠償請求がなされましたが、心理的瑕疵の取扱いはまだまだ明確な基準が設けられていないのが現状です。

そのため、心理的瑕疵の告知義務について過去の裁判の判決にバラつきがあり、死因や周囲への影響度、事故からの経過年数、賃借回数等、多様な判例があります。

さらに日本国内の自殺者は年間約3万人に上り、今後高齢化が進むことから、自然死も含め心理的瑕疵物件はさらに増えると想定されます。

 

 

心理的瑕疵とは
その部屋で自殺や事故死などがあった、または良くない噂話や幽霊・怪談話などによるマイナスイメージになりうる要因のことです。これらは実際に住む人、住もうとする人精神的な部分に大きく作用します。

不動産会社には、自殺などがあった場合、事前に告知する義務があります。

 

参考記事 : 毎日新聞 2013年10月29日付