2020年1月29日

賃貸マンションの短期解約違約金について

スタッフコラム(中瀬)

この記事は 3分2秒 程で読んで頂けます。

いつもお世話になっております。
響不動産リサーチ株式会社 プロパティマネジメント事業部の中瀬です。
今回は短期解約違約金についてのコラムとさせて頂きます。

昨今の賃貸マンションの入居募集におきましては、申込みの間口を広げる為、敷金・礼金を0円にするなど、申込者の初期費用負担を軽減する募集方法が多くなっております。

敷金・礼金が設定されている物件を除いてお部屋を検討されるお客様もおられる為、エリアなどによっては、新築マンションにおいても敷金・礼金を0円に設定しているマンションもあります。

オーナー様にとっては、申込みの間口が広がり空室が決まりやすいというメリットがありますが、その分初期費用の収入が減る為、お部屋付けをして頂いた仲介業者様に支払う広告料などが手出しになるといったデメリットもあります。
また、せっかく入居が決まっても、短期でお部屋が解約となってしまった場合には、賃貸付けに要した費用を回収出来ないままとなってしまうリスクもある為、敷金・礼金を0円とする場合には、賃貸借契約を締結する際に特約に短期解約の場合の違約金を設定する事が多くあります。

例として、1年以内の解約の場合には賃料を含む月額総支払額の2ヶ月分、2年以内の解約の場合には、賃料を含む月額総支払額の1ヶ月分を貸主に支払う旨の特約が主流となっています。

特約に短期解約違約金の取り決めが有る場合、短期解約の際には入居者様に当該違約金の請求をする事になるのですが、入居者様が認識されておらず、トラブルとなることもあります。

 

また、消費者契約法には、次のような条文があります。

第九条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。

    一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める
    条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事
    由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当
    該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分

上記の条文では、賃貸人が事業者(大家も含む)で、賃借人が一般消費者の場合の居住用建物の賃貸借契約は、消費者契約法の適用があり、違約金の額が賃借人に不利益をもたらすときは、一定額以上の部分の違約金額は無効となる可能性があることを示していますが、 オーナー側としては、賃貸借契約が解約された場合、次の賃借人を探す為に1~2ヶ月程度を要する事が考えられ、1ヶ月で新たな賃借人が見つかった場合でも、仲介手数料として1ヶ月分を仲介業者に支払うとすれば、2ヶ月分相当は賃貸人に生ずべき平均的な損害額を越えるものではないと考えられます。

平均的な損害額を越えるような短期違約金の設定などは、上記条文により無効となる場合もありますので、短期違約金の設定をする際には、注意が必要です。
また、契約の際には、重要事項説明により入居者様に短期解約違約金について十分ご理解を頂き、解約の際にトラブルとならない様、留意する必要もあります。

 

今回のコラムは以上とさせて頂きます。
最後までお読みいただき、有難うございます。