2019年7月24日

民法改正に伴う、賃借人の修繕権について

スタッフコラム(吉機)

この記事は 2分5秒 程で読んで頂けます。

大変お世話になります。
プロパティマネジメント事業部の吉機(よしき)と申します。

今回は「民法改正に伴う、賃借人の修繕権について」書かせて頂きます。

 

現在の民法では賃借人の修繕権について規定がなく、賃貸人の修繕義務のみ規定があります。(民法606条)

 

賃貸人は原則として、建物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負っており、漏水・設備故障等が起こると修繕義務を負うことになります。

一方、賃借人は賃貸人の建物を借りており所有物では無い為、賃貸人に依頼をしても修繕をしてくれない際に勝手に建物の修繕を行うと、内容によっては「借主の責めに帰すべき事由」ではなくとも、賃貸人に費用請求ができなかったりする場合もございます。

それでは賃借人の保護が欠ける内容となり、改正民法607条の2が新設されることになりました。

 

 

改正民法607条の2(賃借人による修繕) 

① 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、 
  賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。                     

② 急迫の事情があるとき。                                              

上記の事情の場合、賃借人が建物を修繕することができるとしましたが修繕が必要な場合には賃貸人に通知義務があり、必要な修繕をしないことについては、賃借人に立証責任があります。

 

このような修繕権が賃借人に認められることで、賃貸人側からすると、不必要または過剰な修繕が行われ、費用返還をしなければいけないリスクを負うことになりました。

このようなリスクを無くす為にも今後の不動産実務においては賃貸借契約において、「賃借人は賃貸人に対し修繕の内容、金額を通知し、貸主の承諾を得たときに限り修繕ができる」等の特約を定めることによりリスクヘッジすることが出来ると考えます。

 

 

以上、今回はこちらで終わりとさせていただきます。

最後までお読み頂きありがとうございました。