2013年7月24日

【判例】  買取仲介の遵法性 今後の留意点とは

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一般的な土地建物の売買仲介とは
宅建業者が売買契約成立に向けて依頼者の契約の相手方を探し、その相手方との間の売買契約成立に向けて尽力する活動のことを示します。
そしてその契約を成立させる成功報酬として受け取る仲介手数料には上限が定められており、仲介業者は少しでも多くの利益を得るために様々な方法を考えます。

 

今回ご紹介する事例は、売買仲介業者が買取転売を行った事により宅建業法の報酬の定めに反するとした高裁判決が出されたものです。

 

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宅建業者Yが、土地建物の所有者Ⅹから売却の仲介の依頼を受けました。その後、購入希望者Bが現れたために、当初予定していた買主を探して売買を仲介するという形態から、Ⅹが売主・Yが買主となってYが土地建物を1500万円で買い取った上、同時にYが売主・Bが買主となりこの土地建物ををBに2100万円で売却しました。

つまりYの利益は売却価格2100万円と買取価格1500万円の差額の600万円となりました。

 

これが宅建業法46条の報酬の定めに違反のではないかと争われた結果、宅建業法の報酬の定めに反するとしてYからⅩに対して損害賠償が認められました。

 

判決の理由は
実際に業務を行ったのは実質YからBへ売却を行った取引だけであり、売却価格2100万円の仲介手数料は3.15%+63000円で72万4500円のみ宅建業法の報酬として認められるためとされました。

 
実際に受け取った600万円の報酬額から認められる報酬額の72万4500円を差し引いた527万5500円はⅩに対しての損害賠償となりました。

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買取転売は、法形式として自ら買主・自ら売主となる取引であり、当然認められている取引方法ですが、今回このような判例が出たことで今まで認められてきた方法に疑問符が付けられた事になります。

 

では、今後買取転売を行うにあたり、留意すべき点を挙げてみましょう。

 

① 土地建物を買い取った宅建業者が、買い取った後に土地建物に改修を加えているか
改修を加えるなどで建物の価値を増加させそれによって利益を得ているのであれば、正当性があると考えられます。

 

② 買取の前に購入希望の第三者が出現していたか
買取りを行う前に買主が現れていれば、取得後に買主が現れないかもしれないというリスクを負う事無く、利益を得る事が出来でしまうため。

 

③ 買取の条件が元の所有者にとって有利なものか
宅建業者が買い取る場合の売買条件が、一般の取引と比較しても、売主にとって有利な条件で有れば、既に購入希望の第三者が現れていたとしても、買取転売は許容されると思われます。

 

このように、建物の価値増加や、売主に買主探索のリスクを負担させないための買取といったように、売主にとって有益になるものであれば買取仲介として認められると考えられます。

 

上記の例は、売主にとって有益になるものではないと判断されため、認められなかったということになります。
買取転売には認められるための条件があることを改めて確認することが重要でしょう。