2020年2月19日

賃貸借契約の形態

スタッフコラム(中瀬)

この記事は 3分17秒 程で読んで頂けます。

いつもお世話になっております。

プロパティマネジメント事業部の中瀬です。

今回は、賃貸借契約の形態についてのコラムとさせて頂きます。

建物の賃貸借契約を締結する際、一般的には『普通借家契約』の形態が多く見られますが、異なる契約形態として、『定期借家契約』というものがあります。

定期借家契約につきましては、文字通り期間を定めて契約を行う形態となりますが、その他にも、普通借家契約と比較して、様々な違いがあります。

普通借家契約の特徴

契約期間

契約期間は1年以上で設定しますが、賃貸マンションの契約などにおいては、契約期間を2年とすることが多いようです。契約期間を1年未満とした場合には、期間の定めのない賃貸借契約となります。契約を自動更新としている場合などには、当初の契約期間の翌日から、引き続き契約が更新される形となります。

解約について

貸主、借主との間で、中途解約に関する特約を定めることができます。双方の解約予告期間を定めたり、直ちに解約する場合に支払う金銭の額について定めていることが多いようです。また、貸主からの解約や、契約期間終了時の更新の拒絶は、貸主に正当な事由がない限り出来ません。

定期借家契約の特徴

契約期間

契約の更新がない契約となる為、契約期間が終了した時点で当該契約が終了します。なお、契約期間は自由に定めることができます。

また、契約期間が1年以上の場合は、貸主は期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、借主に契約が終了することを通知する必要があります。

なお、貸主と借主が合意すれば、再契約することは可能です。

契約締結について

契約期間を定めた上で、公正証書等の書面によって契約することが必要です。また、契約書とは別にあらかじめ書面を交付して、契約の更新がなく、期間の満了とともに契約が終了することを貸主が借主に説明しなければなりません。貸主がこの説明を怠ったときは、その契約は定期借家としての効力はなくなり、普通借家契約となります。

解約について

居住用建物の定期借家契約では、契約期間中に、借主にやむを得ない事情が発生し、その住宅に住み続けることが困難となった場合には、借主から解約の申し入れができます。この場合、解約の申入れの日から、1ヶ月が経過すれば、契約が終了します。 

ただし、この解約権が行使できるのは、床面積が200㎡未満の住宅に居住している借り主に限られます。

なお、中途解約に関して個別に特約を結ぶことは可能です。

上記のような違いがあります。

オーナー様にとっては、滞納や入居中のトラブルなどの特別な事情で、入居者様に解約を申入れたい場合や、賃料の増額を申入れたい場合などでも、普通借家契約の場合には、いずれも現実的に難しい事が多々あります。

他方、定期借家契約の場合には、契約期間終了により、再契約をしない場合には、入居者様から居室の明け渡しを受ける事ができ、周辺相場の上昇などから、賃料増額をしたい場合にも、再契約の条件として入居者様に提示する事も可能です。

しかしながら、メリットばかりではなく、入居者様にとっては、契約期間満了後に引越しをしないといけないリスクや、再契約の際の賃料値上げなどがある為、申込みの際定期借家契約の形態がネックになる事も考えられます。

今後、民法改正などもあり、賃貸住宅を取り巻く環境も変化して行く事が考えられますので、上記のような契約形態についても、一度検討してみてはいかがでしょうか。

今回は以上とさせて頂きます。

最後までお付き合い頂き、有難う御座いました。