2012年8月22日

【判例】  賃貸住宅における更新料訴訟の行方

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オーナーの立場として入居者に更新料を請求していますか?

 

また、関東や京都のように大阪にも更新料請求のシステムが標準的に導入されるべきだと思いますか?

 

入居者の立場として更新料を支払ったことはありますか?

 

あるとすれば、賃料の何か月分に相当しますか?

 

 

今週は”賃貸住宅における更新料訴訟の結果”についてお知らせします。

 

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平成24年7月27日、大阪高裁で下された判決は1年ごとの更新料を賃料の3.1か月分と設定していた契約は有効であるとされました。
この訴訟は京都市の入居者が、月額賃料48,000円のマンションを2004年に契約し、1年ごとに15万円(約3.1か月分)の更新料を退去までに3回、合計45万円支払いました。

 

2月29日の京都地裁判決では、「判例や地域事情から、1年ごとの更新料上限は賃料年額の2割(2.4か月)が相当」とし、超過分は無効と判決が下りました。

 
その後貸主が控訴し、7月27日に大阪高裁で貸主側の勝訴となりました。

 

判断の理由は次の通りです。

 
「本件事案で礼金が18万円とされているところ、本件更新料はそれより低額であること、また今回の訴訟に提出された賃料鑑定書などにより、本件物件の実質賃料・礼金が特に高額すぎるものであったとまでは言えないと認められることに照らすと、月額賃料比3.125か月分の本件更新料について、高額に過ぎるもので特段の事情が存するとまでは言えず、消費者契約法10条により無効でない」

 

更新料が高額か否かの判断は
・更新期間
・更新料と月額賃料との比率
・借主が貸主に支払う賃料等の総額

 
月額賃料が近隣の類似物件よりも相対的に低く設定されており、更新料が金額で約定されている場合、更新料の対月額賃料比は相対的に上昇することになります。

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更新料訴訟の傾向として平成23年7月15日の更新料有効判決以降、1件を除き全て有効と判決が下りています。

その1件も上記に挙げた平成24年2月29日の京都地裁の一部無効と判決が下りたもので、7月27日には大阪高裁で有効と判決が覆された訴訟ですので、20件の結果はすべて有効となりました。

 

更新料条項が消費者契約法10条に違反しないこと及び1年更新で賃料比3か月程度のものも有効であることは、上記最高裁判決以降の裁判例においても、更新料の有効性が定着化してきていると言えるでしょう。

 

もし関東や京都のように大阪でも更新料の請求が定着すると、貸主側としては収入が増え、利回りもよくなります。

しかし、一方では更新料の支払いを避けるために入居者が安定しないのではないか、空室が目立つようになってしまうのではないかという懸念もあると思います。

 

しかし更新料のシステムが定着している地域においては、更新料有りの契約が締結されているのが実情です。

それは更新料が必要であったとしても住みたいと思われるお部屋であれば、入居者は必要な費用であると判断してる所以と言えるでしょう。

 

また、更新料の収入があることで、物件のバリューアップへ投資したり、空室期間の補填、借主の支払総額を相場に合わせれば家賃を近隣の類似物件より下げることも可能となり、新たな空室対策の一つとなるかもしれません。