2014年2月19日

銀行・信用金庫の貸出及び預金動向  要因は、インフレ期待と増税前の駆け込みと…

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日本銀行(以下日銀)が2月14日に発表した、昨年12月の銀行・信金合計の貸出平均残高は473兆8,304億円となり、前年に比べて2.3%増加となりました。

 
貸出平均残高の増加は26ヶ月連続で、前年比2.3%の増加は2009年6月の2.4%増以来4年ぶりの高い伸び率となっています。
都銀、地銀・第2地銀、信用金庫のいずれの業態も11月より伸び率を高めており、都銀は同2.0%増、地銀・第2地銀は同3.1%増、信金は同0.7%増となっています。

 

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日銀の見解では、増加の要因として、製造業向けなど融資先の業種に広がりが出てきていることに加え、中堅・中小企業の資金需要も出てきている。

合併・買収(M&A)や不動産投資信託(REIT)、電力向けの需要が見られるほか、住宅ローンやアパートローンなども貸し出しの増加に寄与している。

更に、景気回復に伴って年後半にかけて伸び率を高めており、M&Aなどでこれから貸し出しにつながっていく案件もあることから、今後、貸し出しの伸び率が急速に縮小に向かう可能性は小さいとみています。

 

一方、12月の預金は、都銀と地銀・第2地銀の合計で596兆2,402億円(平残)となり、同3.8%増。プラス幅は4ヶ月ぶりに縮小しましたが、法人・個人ともに流動性預金を中心に高めの伸びが続いており、2013年の3業態合計の伸び率は3.6%増と過去最高水準となりました。

 
金融機関が貸出に積極的な姿勢をみせる背景には、景気の拡大が予想されます。

 
さらに多種の業界に融資先が広がっていることから、景気回復の兆しはさらに固いものと見られています。さらに住宅金融支援機構が金融機関向けに実施しているアンケート結果では、アパートローンの新規貸出が、前年より「大幅に増えた(10%以上)」「増えた(5~10%以下)」とする金融機関が前年比4.6ポイント増の38.3%と全体の4割近くを占めました。

 
これは調査を開始した2007年度以降、最も高い数値を記録しています。

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要因は、インフレ期待と増税前の駆け込みで貸家の着工増えたこと、それに伴い既存の収益物件の販売も好調なことから資金需要が高まっている為だと見られています。

 

しかし、全体的には増加傾向にありますが、金融機関ごとのばらつきも見られます。

都銀は「大幅増」が40%と前回より倍増、地方銀行も38.6%と10ポイント以上増加したのに対し、第二地方銀行は8.3%と半減しました。

また、新規貸出に占める借り換えの割合が増加している傾向も見られました。新規融資のうち、借り換えが4割以上に上ったとする回答が56.6%と前回の41%から大幅に増加しています。

 
さらに回答者の5割超が「借り換え案件の増強」を今後の積極化策に挙げており、借り換え案件の競争がますます激化する可能性があります。

 

その他、関心の高まりを示したものは「サービス付き高齢者向けアパートローン」15.2%(前回8.4%)、「リバースモーゲージ」13.1%(前回6.3%)が前回の調査より倍増しています。

金融機関からのアパートローンの貸出増加の結果が顕著になっており、不動産市況の回復を裏付けた結果となりました。