2019年10月18日

DCF法で算出した物件の市場価格

スタッフコラム(重原)

この記事は 3分18秒 程で読んで頂けます。

物件の市場価格を評価をするとき
 
・積算法
・収益還元法
・取引事例比較法
 
などを用います。収益物件の評価を出すときはこのうち収益還元法を用いる場面がやはり多いです。
 
 
収益還元法は
 
・直接還元法
 
・DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)
 
とに分類されます。
 
 
直接還元法については、以前のコラムで触れましたが
 
NOI ÷ 還元率 = 価値
 
という計算式で不動産の価値を算出します。
 
これは単年のNOIを用いて計算するので、物件の一時のポイントで、写真のようなものです。
 
これは使いやすく物件の判断をする際に多用する、重要な指標です。
 
ですが実態としてはNOIは運営状況により上がったり下がったり常に変動しますので、そのまま永久に続くものではありません。
そのことを理解したうえで使うべきです。
 
 
今回のDCF法は、将来的に得られる利益と売却時の予想価格を現在の価値に割り引き、その合計額を市場価格とする方法で、複数年のキャッシュフローを予測して計算に入れ、より現実的な物件の価値を出しましょうという方法です。
 
保有期間のNOIの現在価値 + 売却価格の現在価値 = 価値
 
 
物件の例で考えてみます。
 
NOIが6,000,000円の物件があり、5年間保有し売却するつもりの物件があるとします。
またその物件は毎年5%NOIが減少することが予測できます。
 
割引率は8%とし売却金額は80,000,000円と想定しています。
売却にかかるコストは3%とします。
 
 
DCF法の計算式は以下のようになります。
 
(1年目)NOI ÷ (1+割引率)
 
(2年目)NOI ÷ (1+割引率)の2乗
 
(3年目)NOI ÷ (1+割引率)の3乗
 
(4年目)NOI ÷ (1+割引率)の4乗
 
(5年目)(NOI+売却益) ÷ (1+割引率)の5乗
 
これらの合計=DCF法による市場価値
 
 
今回の物件に置き換えると
 
1年目のNOI 6,000,000円÷(1+0.08)
 
2年目のNOI 5,700,000円÷(1+0.08)の2乗
 
3年目のNOI 5,415,000円÷(1+0.08)の3乗
 
4年目のNOI 5,144,250円÷(1+0.08)の4乗
 
5年目のNOI (4,887,037円+77,600,000円)÷(1+0.08)の5乗
 
=74,661,457円となります。
 
 
DCF法を用いたこの物件の現在の市場価値は74,661,457円という事になり、この金額で購入できれば8%の利回りを達成できるという事になります。
 
また、この物件を保有していると考えた場合はもし今、これより高い金額でオファーを受けた場合は市場価値より高く売れるという事がわかり、かつ、5年後の売却を待つより価値がありますので良いオファーであるという判断材料にもなります。
 
 
以上簡単に書きましたが、基本的にはこのような考え方です。
 
DCF法は複数年の収益を使用してより正確な物件の市場価値を出せるといえます。
 
ですが、NOIの推測、還元率、割引率の設定で価格が大きく変動しますのでこれらの値が妥当かどうかの検証は必要かと思います。
 
 
最後までお読み頂き有難う御座いました。