2019年9月4日

天災について

スタッフコラム(中瀬)

この記事は 3分14秒 程で読んで頂けます。

いつもお世話になっております。
プロパティマネジメント事業部の中瀨です。

今回のコラムは、私が担当させて頂きます。

今回は、「天災」についてお話させて頂きます。

皆様もご存じの通り、昨年2018年の9月に今世紀最強とされる、台風21号が日本に上陸し、各地に大きな被害をもたらしました。

例年、台風による被害がそれほど発生しない大阪でも、暴風雨により民家やマンションの屋根が飛ばされたり、大規模かつ長期間の停電が発生し、日常生活に支障をきたすなどの深刻な被害も見られ、弊社が管理させて頂いております賃貸マンションやオフィスビル、駐車場などにおきましても、大きな影響がございました。

また、物件に対しての被害だけでなく、暴風により建物から屋根材やトタン板などが飛散し、周辺の家屋や車などに被害が及ぶケース等も見られました。

このような場合、被害を受けた方から修理代を請求される事も考えられますが、建物・土地の所有者であるオーナー様は、賠償責任を負うのでしょうか。

 

民法には以下の条文がございます。

(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)

第七百十七条 

1 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

2 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。

3 前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。

 

上記の条文には、土地の工作物等(建物に付随する塀や看板なども含む)の設置又は保存に瑕疵が有った場合、その工作物の占有者や所有者が損害賠償義務を負う旨の記載があります。

具体的には、建物に老朽化による劣化等があるにも関わらず、修理をせずに放置していた場合や、設置する際の施工に不備があり、安全性や耐久性に不備が有った場合などがこれに当ります。

反対に、設置又は保存に瑕疵が無く、工作物に通常有すべき安全性があった場合には、台風などの予期せぬ現象により発生した被害については、所有者が責任を負う義務はないとも考えられます。

ただし、これまでに同様の台風被害があったにも関わらず、飛散防止の為の補強や備えをしていなかった場合などには、自然災害とは言え、予期出来る範囲の防止措置を怠ったとして、損害賠償責任を負う事などもあるようですので、具体的にこのような事故が発生した場合には、個別に専門家に相談される事をお勧め致します。

 

自然災害が原因の事故の場合、不可抗力により仕方のない事もあるかとは思われますが、
人命に関わる事故が発生する事も考えられる上、所有者側に賠償責任がない場合でも、賃貸借契約関係にある契約者の方とトラブルになった場合、解約などのリスクにもつながります。

これからの時期、台風シーズンとなりますので、所有者側としては、飛散する可能性が有る物は事前に撤去したり、特に建物の屋根、外壁、フェンスなどに劣化している箇所がある場合には、修繕や補強を行い、対策を講じる事が肝要かと存じます。

 

今回のコラムは以上となります。
最後までお読み頂き、誠に有難うございます。