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今回のコラムは前回の「立退き交渉の実例(前半)」についての後半になります。
こちら側の主張に対し、真っ向から反論してきている借主側ですが、更にややこしい主張を追加してきました。
それは、対象建物の敷地の上に、借主が以前の貸主の了解を得て建てた建築物があり、本件賃貸借契約は建物賃貸借だけでなく、借地権も付随しているとの主張です。
しかし、これも数十年前の事で、当時の関係者は誰も生存していません。
現在の借主が以前の借主(父親)に口頭で聞いた事があるだけで事実確認が出来ない内容です。
この主張に対し、こちら側としては事実確認が出来ない以上、この主張を論点にしても水掛け論でしかなく、少なくとも現在の貸主は借地権などは認めておらず、あくまでも建物賃貸借であると反論しました。
ここまで互いの主張に相違があると収拾がつきません。
裁判官も判断がし難いのか、協議での和解を進めてきていました。
では、このまま判決を取った時に、こちら側の主張が認められるかと考えると、借主側が居住権を主張している以上、厳しいのではないかと判断し再度協議による和解を目指す事にしました。
長い間互いの主張をぶつけている中で、借主は金銭が目的ではなく、実際に倉庫としてのスペースがどうしても必要であると感じていましたので、こちらからの和解の条件として、立退き料相当額の敷地を譲渡し、そこに借主側で建物を建ててもらい、現在の建物からは退去してもらう様に提案しました。
こちら側としては、道路に面していない奥側の敷地の一部であれば譲渡したとしても土地の売却は可能で、尚且つ金銭の支払いも不要となります。
借主側としても必要なスペースが確保できますので、妥協できると考え提案したところ、借主側もこの和解案にのってきました。
上記以外にも数え上げればきりがない程の争点が出てきましたが、現在は、分筆ラインの確定も完了し、和解文書の最終調整中です。
ここまで約2年掛りましたが、何とか貸主様の目的である不動産を処分し現金化するという目的を達する事が出来る様になりました。
今回の案件は、当初の当事者が亡くなられており、昔の口頭での契約でしたので、とにかく口頭で聞いていた事と現状を照らし合わせながら進める大変難しい案件でした。
弁護士だけでなく司法書士や不動産鑑定士、土地家屋調査士などその時々に応じて様々な専門家とチームを組む事で依頼者の希望に応える事ができ、私自身も大変勉強になりました。
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