2014年6月25日

【競売】  区分所有マンションの競売 占有状況確認の必要性

スタッフコラム(堀口)

この記事は 3分3秒 程で読んで頂けます。

私は、競売の入札代行を担当しておりますが、最近特にお問い合わせの数が公告される毎に非常にバラつきがあるように感じます。
やはり人気なのは賃貸収入を目的とした区分所有マンション(単身・ファミリー問わず)です。
占有者の有無はみなさん確認されていらっしゃるのですが、占有権原についてはあまり深く考えられていないように感じます。
そこで本日は、区分所有マンションですでに入居者がいる場合、出て行ってもらうことが可能なのか?敷金の返還債務はどうなるのか?についてお話をさせていただきます。

 

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入居者がいる場合には、物件明細書の1枚目に「物件の占有状況等に関する特記事項」の欄に占有権原が記載されております。

例を挙げますと、
①「○○が占有している。同人の賃借権は抵当権に後れる。ただし、代金納付日から6ヶ月間明渡しが猶予される。」

②「上記賃借権は最先の賃借権である。期限後の更新は買受人に対抗できる。」

との記載があるものです。(この他にも様々な状況がございます。)
この場合、買受人になった場合どうなるのでしょうか?

①の場合、買受人が残代金の納付手続きをした時点で賃借人の占有権原がなくなります。従って賃借人は退去しなければなりません。しかし、退去明渡しまで最長6ヶ月の猶予があります。
この場合、賃借人が退去する時に敷金を差し入れていたとしても敷金の返還義務は買受人にはありません。

②の場合、契約期間終了時に「更新はしない。出て行って欲しい。」と言ったところで相手方が拒否すれば更新しなければなりません。しかも、敷金を差し入れていた
場合には、退去する際に敷金を返還しなければなりません。競売ですから勿論前所有者から敷金の承継がされることもありません。持ち出しということになります。

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事務所として利用されている場合には、非常に高額の敷金が差し入れられていますので気をつけなければなりません。(物件を自己使用として検討される方は避けた方が良いケースです。)

特に多いのが①のケースであり、賃借人が退去すると言えば退去してもらうこととなりますが、引き続き居住したいという意思表示があった場合、どうすればいいのでしょうか?

まず、賃借人からの賃料と周辺の賃料相場と比較し、賃料相場よりも高い賃料ならば契約を巻き直して住んでもらうのが良いでしょう。稀に賃料相場よりも安い賃料の賃借人がいます。この場合は、少しでも早く退去してもらい、新たな入居者を探す方が良いです。但し、新たな入居者を募集する際には、リフォーム代等の諸費用が掛かるので、目先の賃料だけで決めてしまうのは危険です。

このように賃借人の占有権原により買受人が負担することとなる内容が大きく異なります。事前にどのような負担が出てくるのかをしっかりと調べ、入札することが望ましいでしょう。

他にも様々な占有状況がございます。物件を検討される際、占有権原によりどのような負担があるのかが分からなければお気軽にご相談下さい。
3点セットより分かる範囲ではございますが、お答えさせていただきます。

競売で物件取得をご検討される際に役立てていただければ幸いです。