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新築住宅の固定資産税と都市計画税の負担が2015年度より重くなる可能性が高くなりました。
総務省が建築資材の価格や工事費の上昇を踏まえ、税額の基準になる住宅家屋の資産価値を現在より高く見積もる方針を固めた為です。
評価額は総務省が3年ごとに見直し、新基準は来年1月1日時点の持ち主に適用となります。
家屋の評価額を上げるのは09年度以来6年ぶりで、土地の評価は今秋に見直す予定となっています。
家屋評価は不動産の買入価格や建築工事費ではなく、総務大臣の定める固定資産評価基準によって算出されており、使用部材や仕上がり等に応じてそれぞれに評点が付けられ非常に細かい基準で評価されています。
増税の理由としては、建築資材の高騰や工事費の上昇を踏まえ、税額の基準になる住宅家屋の資産価値をより高く見積もる方針を固めたためです。
円安で輸入コストが膨らみ、震災復興など公共投資が増えたことが要因と考えられる資材価格の高騰が、税負担増と形を変えて消費者に跳ね返ることになります。
標準的な新築木造の場合は年間納税額が7%程度上がり、5,000円近く増えることになります。
上記はあくまでも新築住宅に関する事で、既存住宅に関しては、これまでの税額を上回って課税しない措置が適用されるため、15年度に税額が増えることはありません。
ただ、建物の評価額は基本的に築年数に応じて評価額が下がって税負担が減っていく傾向にありますが、15年度の評価額が上がれば納税額が下がらないことになり、結果として実質負担増になる可能性があります。
東京都が標準モデルとする住宅を例に挙げてみましょう。
木造2階建、延床面積97平米、洋風住宅を東京都23区内に新築した場合、現在の評価額は約687万円ですが、新基準では7%増の約732万円に上がります。
23区は固定資産税と都市計画税の税率が新築後3年間は合計1%なので、税負担は年約4,500円増加することになります。
また、資材の使用量によっても税額は変わります。鉄筋コンクリートは評価額が大きく引き上げられるため、マンションなどの集合住宅はさらに税額が大きくなる可能性が高いと思われます。
築年数が経過し、評価額が下がった住宅を取り壊し、新築に建て替えるという従来の慣習が減り、既存住宅の修繕を重ねて長く使用するケースが増えるかもしれません。住宅のメンテナンスをこまめに行い、保管状態を良くすることが、保有するにも売却するにも有利に働くのではないでしょうか。
今秋発表予定の土地の評価額と合わせ、動向を注視する必要があると思います。