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国土交通省は新たな住生活基本計画を閣議決定致しました。
まずは、新たな住生活基本計画のポイントについて見てみましょう。
● 若年・子育て世帯や高齢者が安心して暮らすことができる住生活の実現
● 既存住宅の流通と空き家の利活用を促進し、住宅ストック活用型市場への転換を加速
● 住生活を支え、強い経済を実現する担い手としての住生活産業を活性化
全国の空き家は平成25年の時点で820万戸に上ります。
平成31年の5,307万世帯を頂点に、世帯数は減少局面を迎え、平成37年には5,244万世帯の見込みと言われています。
加速する空き家問題を解消に導くため、住宅の確保が困難な高齢者や障がい者、子育て世代を対象に、空き家を賃貸物件として活用する方針を固めました。
空き家がどこまで活用できるか、解消しなければならない問題がいくつかあります。
まずは対象物件の範囲です。
放置空き家の多くは、新耐震基準が施行された1981年以前に建てられました。特に、団塊の世代とその少し上の世代が建てた築40年以上の住宅は、大半が今の基準を満たしていません。
よって、新耐震基準を満たすことを条件とすると、空き家活用の障壁になることが懸念されています。
一般社団法人「移住・住み替え支援機構」が行う空き家活用の施策も、新耐震基準を満たすことが必須条件で対象がかなり限定されているため、利用促進が進んでいない結果となりました。
耐震基準の他、立地や築年数など必須条件を増やすほど対象物件が限られることになります。
また、入居者の属性を不安視する声もあります。
行政が入居者の家賃を補助することも有力視されており、賃料の未回収のリスクを低減するため、入居者を介さない手段が採用される可能性が高いと言われています。
住宅の確保が困難な高齢者や障がい者、子育て世代を対象にした空き家対策のため、所有者の中には入居者の属性に不安を感じるかもしれません。
高齢者の孤独死や近隣住民の反対の有無などです。
特に外国人であれば生活マナーの違いから、物件の破損や汚損を心配することが考えられます。
空き家の所有者の大半は高齢で、特に初期投資を懸念する人が多いようです。空き家対策を実施するにあたり、改修費用や入居中のトラブルや損害を補てんするための費用がかかることも考えられるため、なかなか空き家活用に踏み出さない背景もあります。
所有者が空き家活用に踏み出す対策も課題の一つです。
空き家活用が進めば、賃貸住宅市場に影響が出ることは必須です。
住生活基本計画がどのように進むのか、注視することが必要でしょう。
参考サイト:国土交通省「新たな住生活基本計画(全国計画)の閣議決定について」