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10月27日、マンションなどの空室を旅行者に貸し出す「民泊」を認める条例案が、大阪府議会で可決されました。
「民泊」を認める条例の成立は全国初となります。
訪日客が急増している大阪や東京では、ホテルの予約が取りにくくなっています。
特に大阪はホテルや旅館の稼働率は今年6月は約83%と、4ヶ月連続で全国1位を記録しました。
来阪する外国人旅行者数は昨年度376万人、今年は上半期だけで320万人を突破し、年間目標の380万人を超えるのは確実視されており、さらに宿泊施設の不足が進むことは必至の状況で、民泊解禁はこうした状況を改善する狙いがあります。
ただ、この大阪府の民泊条例の内容については、評価が大きく分かれています。
大阪府の民泊条例は、以下のような条件となっています。
・最低滞在期間は「7日」
・罰則規定はなし
・この条例が適用される範囲
・立ち入り検査の実施
・滞在者名簿の義務化
もっとも大きな問題は最低滞在期間は「7日」とされていることです。
訪日外国人旅行者滞在日数の分布では、6日間以内の短期滞在者が約6割を占めるという状況であり、「7日」以上とするのは実態に即していないという面があります。
今回の条例可決により今までグレーとされていた部分が明確になることで、逆に民泊として利用できなくなる可能性が高くなっていますし、滞在期間を7日以上とすることで収益性が下がる事も懸念されています。
また、民泊許可の特定認定の申請を行い「外国人滞在施設経営事業」の認定事業者となり、その後認定事業者が施行令で定める要件に該当しなくなった場合や、認定要件が守られていない場合には認定を取りけることができるとしていますが、罰則規定はないため、機能するかは不透明でしょう。
さらに、大阪市・堺市・豊中市・高槻市・枚方市・東大阪市は条例適用外の地域となっています。
大阪市や堺市等の政令指定都市や東大阪市などの中核市は独自に保健所を持つためそれぞれ条例を制定する必要があるからですが、外国人旅行者の多くは大阪市での宿泊を望んでいるため、今回の条例の対象エリアに含まれていない事で、大きな効果は期待できないとも言われています。
この条例は、政府が指定する「国家戦略特区」の規制緩和を活用するもので、早ければ2016年4月から解禁されます。
東京都大田区でも、条例案を11/26に開会予定の12月議会に提出し、2016年1月に事業者の届出受付を始める予定とのことです。
こういった状況を受けて、政府は11月にも観光庁や厚生労働省などによる検討会を発足させ、民泊の制度設計に向けた検討に着手し、2017年にも全国で解禁する方向で調整を進めるそうです。
まだまだ課題の多い民泊ですが、今後間違いなく外国人観光客は増加する中で、不足する宿泊施設対策の大きな一手になると考えられています。
すでに、弊社の管理物件でも大阪市内の観光地から近い物件は、民泊としての利用が可能かとの問合せが多数寄せられております。まだまだグレーな部分も多く残されていますので、経過をしっかり観察する必要がありますが、民泊のメリットや問題点等、メルマガでも随時お伝えしていきたいと思います。