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政府・与党は、中古住宅の販売時に専門家による中古住宅の劣化状況を調べる住宅診断を徹底し、仲介業者に販売時の説明を義務付ける方針を示しました。
購入後に欠陥が判明する事態を防ぎ、安心して売り買いできる環境を整備することで、中古住宅市場を活性化させることがねらいです。
一般的に日本の住宅は築20年を超えると、建物部分の資産価値はゼロに近いと考えられており、欧米ではもはや常識となっている※ホームインスペクションのような、住宅の耐久性や劣化状況を第三者が診断する仕組みが普及していないことが、日本が欧米に比べ中古住宅の取引が活発でない原因のひとつと考えられています。日本では建築士事務所などが国土交通省の指針に基づき住宅診断を行っていますが、中古住宅の購入者のうち住宅診断を利用した者は1割に満たないのが現状です。
住宅診断の専門家が屋根、外壁、室内、床下等を目視して住宅の耐久性や劣化状況を診断し、水回り、傾斜、ひび割れ、シロアリなど補修の必要性を判定します。
その上で、仲介業者に対し、買主への住宅診断結果内容の説明を義務付けます。具体的には、法改正により重要事項説明書に住宅診断の項目を設け、購入後に発覚する欠陥を減らす対策です。
更に、中古住宅購入に向けた買主の安心感を高めるため、住宅診断を実施したにも拘わらず、売主が説明していない欠陥が発覚した場合、買主は補修や契約解除を請求することができるようにする案を検討する予定です。
一方、売主にもメリットがあります。販売までの手間は増えますが、販売住宅の性能を予め説明することで、売れ残っていた中古住宅の販売拡大が見込めます。
また住宅診断の通り欠陥がなければ、買主に補修等の請求権を放棄させる案も検討しており、これは、売主を契約後のトラブルから保護することにつながります。
自民党などは、物件ごとに価値を適正に評価すべきとして、5月中にも活性化策をまとめる方針で、来年の通常国会に宅地建物取引業法改正案を提出する予定です。また、今回の改正案による需要拡大に伴い、検査能力が高い事業者を多く確保する必要があるため、政府は研修制度の拡充も検討しています。
その他、昨今問題となっている物件の販売情報も透明化する予定です。
現在、仲介業者は売主から物件販売を依頼されると、業界ネットワーク「レインズ」に登録し、情報公開の義務があります。しかし、情報を公開せず水面下で売買を行う「囲い込み」が横行しているのも事実です。
そのため、政府与党は仲介業者への監視強化も進める方針です。
現在、日本では空家の増加が問題となってきています。
今回の法改正が実施される事で、空家問題の改善や不動産市況の活性化に繋がる事が期待されています。
※ホームインスペクションとは
住宅に精通したホームインスペクター(住宅診断士)が、第三者的な立場から、また専門家の見地から、住宅の劣化状況、欠陥の有無、改修すべき箇所やその時期、おおよその費用などを見きわめ、アドバイスを行う専門業務。