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この事案の概要は
賃借人Xが賃貸人Yに対して支払い済みの更新料228,000円および定額補修分担金120,000円の返還と、Y主張の未払の更新料76,000円の支払債務が存在しないことの確認とを求める本訴請求と、YがX及び連帯保証人Zに対して当該未払の更新料の支払いを求める反訴請求からなります。
Xは、平成15年4月1日Yとの間で、本件建物につき期間を同日から1年間、賃料を月額38,000円、更新料を賃料の2か月分、定額補修分担金を120,000円とする賃貸借契約を締結し、同日建物の引渡しを受けました。
なお、本事案でいう定額補修分担金とは、通常損耗、賃借人の軽過失による損傷の回復費用のうち、賃借人負担部分を定額で予め合意し、賃借人が支払う金員です。
上記賃貸借契約は、その後3回にわたり期間を1年間として更新され、その都度Xは更新料を支払いましたが、平成19年4月1日を始期とする4回目の更新の際にXは更新料を支払いませんでした。その後、判決からは正確な時期は明らかではありませんが、次の更新をせずに賃貸借契約は終了し、Xが更新料の返還及び未払の更新料の支払義務がないことの確認を求めて訴訟提起し、さらに定額補修分担金についてもその返還を求めてきたという事案です。
本事案は最高裁まで争われ、最高裁の判決では、更新料条項は消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないとし、Xの更新料返還の請求を棄却するとともに、Yの請求を認め、Xに対して未払い更新料の支払いを命じました。しかし、定額補修分担金の120,000円については、賃借人の訴えが認められています。
判決の要旨として
更新料は、賃料と共に賃貸人の事業の収益の一部を構成するのが通常であり、その支払いにより賃借人は円満に物件の使用を継続することができるとすると、更新料は一般に賃料の補充ないし前払い、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するものと解するのが相当であるとされました。