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賃貸トラブルになりうる”連帯保証人”問題。
住宅の場合には、本人が借主で借主の親兄弟を連帯保証人に、オフィステナントの場合には、会社が借主、代表者を連帯保証人にしている場合が多いと言えます。
賃貸借契約というのは売買契約などとは違って、相当期間契約が継続することを当然の内容としていますので、賃料の未払い等が発生する可能性が高いといえます。
また、いざ賃料不払いで契約を解除して明け渡しを求めてみても、裁判などになれば半年1年がかかったりもします。
そのような場合にでも、少なくとも賃料分の損害を填補するためには保証人(連帯保証人)の存在は不可欠であるといえます。
その連帯保証人にもしもこんなことが起こったら、あなたならどうしますか?
あなたはマンションオーナーです。
ある日、家賃を滞納している入居者にやむを得ず退去を依頼することになりました。
そこで、滞納している家賃を連帯保証人に請求しようとしたところ、連帯保証人はすでに死亡していることが判明しました。
入居者から滞納分の家賃を徴収することは困難です。
もちろん契約時の連帯保証人からも徴収することは不可能です。
こんな場合、どのように対応すればよいのでしょう?
まず、賃貸借契約における”保証人に生じる義務”についてお話ししましょう。
保証人とは民法上、債権者との間で保証契約を締結して、主債務者の債務履行の保証をする人をいいます。
保証人は、債務者が債務を履行しない場合に、債務者に代わってその債務を履行する義務が生じます。
貸借人(債務者)が負っている(主な)債務は
① 賃料の支払い
② 賃貸借契約が終了した場合の原状回復義務
③ 賃貸借契約が終了した場合の明け渡し義務
④ 敷金、保証金や更新料の支払い
⑤ 目的物(家・部屋)を損壊した場合の修繕義務
次に先ほど挙げました事例のように、貸借人(債務者)が債務を履行せず、連帯保証人が死亡していた場合の対処方法についてお話しします。
連帯保証人の地位は相続されます。
相続というのは、死者が生前もっていた財産上の権利義務を包括的に承継することですから、連帯保証人としての地位も原則として相続されます。
よって、死亡した連帯保証人の相続人に債務請求を行うことができます。
相続人が複数いる場合は、その誰に対しても請求ができます。遺産分割協議の内容に関わらず、複数の相続人のうち誰に対しても、債務全額を請求することができます。
しかし相続人が相続放棄の手続きを取っていれば、債務請求することはできなくなります。
ただし相続放棄の手続きは、相続開始(連帯保証人の死亡)を知った時から3カ月以内にしなければなりませんので、本当に相続放棄をしたかどうか、家庭裁判所に問い合わせてみることも必要です。
上記のように連帯保証人は義務は基本的に相続されるものですので、連帯保証人が亡くなられていたとしても、相続人へ債務の履行を請求する事が出来る可能性がある事は知っておいて損の無い知識ですね。