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昨今公表された公示地価等を見ても明らかな通り、バブル以降地価の下落が続いています。
現在の地価の水準は1975年頃と同程度で、日本の地価は右肩上がりの時代からバブルを経て35年かけて元の水準に戻っています。
しかし、バブル以降下落が続いている「地価」に対して、「家賃」は大きな変動は無く、バブル期も含めても全国平均で見ると急激に上がる事も下がる事も無く、1970年頃からゆっくりと上昇し続け2003年にピークを迎え、その後もほぼ横ばいで現在も推移しています。
この動きの差をデータに基づいて解説致します。
まず消費者物価指数における「家賃」と「地価」(市街地価格指数(全用途平均))の推移について、過去40年の統計データを分析しましょう。
1970年時点からバブル期突入前夜の1980年代半ばまでは、「家賃」及び「地価」の上昇率はやや低いながらもほぼ同じように上昇しています。
そしてバブル期に突入した1986年以降は、「家賃」は同じ率で上昇を続けますが、「地価」は高い上昇率となり2つに大きな差が生じてきました。
1985年から6年間において、「地価」は62%も上昇(年率換算では8.3%)し、ピークを迎えました。
一方「家賃」の上昇率は18%(年率換算では2.7%)に留まります。
驚く点は、「家賃」のピークは「地価」のピークの1991年を過ぎても緩やかではありますが上昇を続け、2003年となっていることです。
実際、2003年以降「家賃」は低迷しているものの、下落というよりはほぼ横ばい圏内で推移をしています。
「地価」はピークの1991年から2010年まで低下を続け、下落率も大きく60.4%(年率換算では4.8%)にもなります。
一方「家賃」は13.1%(年率換算では0.7%)上昇しています。
つまり「家賃」は右肩上がりのなだらかな曲線を描き、「地価」は90年代初期をピークとした山型の線を描いています。
実状でも家賃変更がなされる住戸の割合は1年間でわずか5%、入居者の入れ替え時においても76%もの住戸で従来と同じ家賃が適用され、契約更新の際にも97%もの住戸で家賃の据え置きがなされているそうです。
不動産投資において、「地価」と「家賃」は重要なポイントです。
現在、短期的な売却益得を狙う事は難しい局面ですが、長期的な視点で家賃収入を得る事は短期的な売却益を狙う事に比べ、さほど難しいものではないと言えるのではないでしょうか。