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国土交通省、経済産業省、環境省は、2020年までにすべての新築建物に省エネ基準への適合を義務付ける方針や、次世代省エネ基準を見直す方針などを正式に決定しました。
平成24年7月10日「低炭素社会に向けた住まいと住まい方の推進方策について中間とりまとめ」を発表しました。
低炭素社会とは、
単にエネルギー消費量や CO2 排出量を節約・削減することのみを目的として掲げる社会ではなく、エネルギー効率の改善やエネルギー供給における低炭素化を通じ、増大する世界のエネルギー需要への対応、熱帯雨林などの豊かな生態系や生物多様性の維持、異常気象や気候変動に起因するリスクへの適応など、今後持続可能な社会を実現していく上で必要となる多様な課題への対応を図っていくものを指します。
この施策の目的は
住まいの快適性の向上や化石燃料への依存度の低減、新たな技術開発に基づく産業の創造などを通じ、国民の生活水準や産業の活力の向上に繋がるよう、社会全体で取り組んでいくことです。
では「ゼロエネルギー化」を視野に入れた住宅・建築物関連の施策のポイントについてお知らせ致しましょう。
評価対象は大きく3つに分類され、断熱などの「外皮性能」、太陽光発電・太陽光利用の双方を含む「創エネ性能」や、空調や給湯の「設備性能」です。
対象となる住宅の基準は
新築物件であり、かつ規模別に3段階に分けられています。
「大規模」は2,000㎡以上
「中規模」は300㎡以上2,000㎡
「小規模」は300㎡未満
大規模建築物から先行で「適合義務」を課し、小規模の場合は当面「努力義務」に留まります。
まずは次世代省エネ基準を見直し、これをベースとして省エネ義務化の基準レベルを設定する予定です。
その省エネルギー対策等級に改訂が早速提案されています。
住宅品質確保促進法の「性能表示基準」において、より高い等級をつくる、エネルギー消費量関連の等級を新設する等、施策案があり、現在未定です。
また次世代省エネ基準の見直しにより、基準のレベルが上がる可能性があります。
従来の閉じて断熱・気密化する基準のあり方を改め、「開ける(具体的には適度な大きさの窓をとりつける)」機能を採用することが次世代省エネ基準見直しのポイントとなります。
反して日射制御・通風等を工夫する手法や、伝統的な家屋の工法と、建物の断熱化などの要求とは適合しない場合もあります。
多様な工夫を妨げないでほしいという声が根強いため、検討される可能性があります。計画手法や工法の多様性に配慮されることが期待されています。
その他「都市低炭素化促進法」が8月、参議院本会議で可決、成立しました。
「都市低炭素化促進法」とは新たな住宅認定制度の運用、街づくり計画の策定時点での誘導といいった2つの側面から、低炭素化を図るものです。
低炭素建物認定基準を策定する低炭素基準合同会議を設置し、基準を決定する予定です。
低炭素社会の実現は、人類全体で取り組むべき共通の課題ですね。
未定の部分も多くありますので、今後も動向を注目する必要があるでしょう。