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国土交通省は10日、長期固定金利型の住宅ローン「フラット35」について現在物件額の9割までとしている融資の上限(融資率)を一時的に撤廃する方針を固めました。
来春の消費税率引き上げを見据え、住宅の駆け込み需要後の反動減を懸念する不動産業界から支援策を求める声が上がっており、国交省も対策が必要だと判断したためです。融資率の上限を撤廃することにより、物件価格の全額を借入出来るようになり、頭金なしで住宅を購入する事が可能になります。
この対策により消費税増税前の駆け込み需要後も不動産市場を活性化し、住宅の流通を促進させる狙いがあります。
しかし、その反面、頭金が用意できない人でも住宅が購入できるようになり、貸し倒れの増加を懸念する声も出ています。
このため、今回の融資率引き上げに当たっては、借り手の審査を厳格化するなど、貸し倒れが起きにくくするような対策も検討しているようです。
その他、貸し倒れリスクに備えて国交省が来年度予算の概算要求で住宅金融支援機構への出資金の積み増しを盛り込む方向です。
この撤廃は数年程度の時限措置となる見通しで、過去には欧米の金融危機後の09年6月から12年3月にも撤廃したことがあります。
また自民、公明両党は来春の消費税増税に際し、住宅ローンの利用者なら年収制限を設けたうえで最大30万円の現金を支給し、現金で住宅を買う場合も50歳以上などの条件付きで同額程度を給付する方針を固めています。
新制度では年収の低い人ほど現金を多く受け取れる制度になっており、ローンを組んで住宅を購入する人の場合、消費税を8%に上げる14年4月以降は年収425万円以下で30万円、同10%にする15年10月以降は年収450万円以下で50万円を給付する予定です。
住宅ローン減税の恩恵が小さい人の負担をより軽くする狙いです。
消費税の増税により消費の冷え込みが起こらない様に様々な対策が検討されています。
フラット35とは
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が提供する最長35年間、金利が変わらない住宅ローン。
金融機関が住宅の購入者に貸し出し、その債権を機構が買い取る仕組みになっている。
政府は景気が悪くなると金利を引き下げ、住宅需要の喚起を図ってきた。現在は物件額の9割が融資の上限となっており、購入者は最低でも1割分の頭金を用意する必要がある。