2013年12月4日

【建築価格の高騰】  要因とは

メルマガバックナンバー

この記事は 3分18秒 程で読んで頂けます。

皆様もお聞きになられていると思いますが、建築価格が高騰しています。

 

関西のデベロッパーなどでは「今年の春ごろに比べ2~3割建築費が上昇している」というお話しも聞かれます。

下請け業者さん等は、人出が足りない為、見積りすら出してくれない企業もあり無理をお願いする事で、更に建築費が上がると言う循環になってきています。

 

建築費高騰の要因は、大きく分けて2点
1. 鉄鋼やセメントなど建設用資材の高騰
2. 建築現場で働く業者の人手不足

 

7c828f685c8cb74b2bcc00cc416d0bb5_s

1. 鉄鋼やセメントなど建設用資材の高値傾向ですが、その背景には震災復興事業や消費増税前の住宅建設の増加に加え、2020年の東京五輪が決まったことで、建材の需要増が続くとの見方が強まっているためのようです。

東京製鉄を例に挙げますと、ビルの骨組みなどに使われる鉄骨「H形鋼」を10月から、1トン当たり2,000円引き上げ7万6,000円に値上げします。

価格改定は7ヶ月ぶりで、その理由を「東京五輪の開催が決まり、長期にわたる好況が期待できる」ためと判断しました。

 

一方、日本銀行の9月の国内企業物価指数(2010年平均=100)でH形鋼は106と、9ヶ月連続で上昇し、なんと震災前の水準を上回りました。

セメントも、業界大手が10月から1トン当たり平均1,000円と約1割の値上げを納入先の生コンメーカーに求めているようです。

セメント協会は9月、2013年度の国内需要を当初の見込みから100万トン引き上げ、前年度比5.4%増の4,700万トン強に上方修正しました。

各社の国内工場は震災後、フル生産が続いており、今年は輸出を1,000万トン減らして国内向けに充てて対応している状況です。

 

 

2. 人手不足については、震災復興事業だけでなく、2020年東京五輪開催が決定したことにより、施設建築の準備に建設技能労働者が費やされているようです。

 
そしてもうひとつ、建設業従業者の減少もその原因となっています。

従業者数は1997年には685万人を数えましたが、2012年には503万人まで減少し、職種別では、職人といわれる技能工・建設作業者が130万人も減少しています。

さらに、高齢化も進み1997年には24%であった55歳以上の割合が2012年には34%と10%もアップしています。

1990年代後半から建設市場は縮小し、下請企業への発注金額が絞られました。

そして、そのしわ寄せは職人の賃金を引き下げという形で表れました。

 

労働条件が悪化したことで、若い人は見切りをつけて建設業から離れていき、新卒者の建設業への入職もピーク時の半分程度となり、24歳以下の若年層が大幅に減少しています。

その結果として建築にかかる人件費の高騰につながりました。

 

 

このように、建設用資材及び人件費の高騰が重なり、建築価格の高騰が起きています。

今後、建築費の水準が下がらなければ、新築物件の供給はかなり減ることとなるでしょう。

 

投資用として新築物件が入手困難となることから価格がますます高騰する可能性もありますし、中古物件のリノベーション等の事業が活性化することも考えられます。

皆さんの不動産投資に大きな影響が出る可能性の高いお話ですので、しっかりと情報収集を行い、対策を講じられる事をお勧めします。