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阪急阪神ホールディングスが、阪神百貨店梅田本店が入る大阪神ビルディングを建て替える方針を固めました。
南隣の新阪急ビルと一体で再開発し、新たに高さ190mの超高層ビルを建設します。2014年に着工、阪神百貨店が2018年に先行開業、2021年に全面開業する予定です。
新ビルは地下3階、地上38階建て、延床面積は現在の約15万平米から約26万平米へ拡大します。地下2階から9階の低層階には百貨店、11階から38階の高層階にはオフィスや会議施設が入居する予定です。
この新ビル建設に踏み切ったきっかけはいくつか考えられることがあります。
一つに総事業費は1,000億円規模に達する見通しで、百貨店の増床や商業施設のオープンが著しい梅田で勝ち抜くための戦略と見られています。
また、新ビルの完成と、オフィス需要のピーク時期が重なる可能性があることも要因の一つと見られています。そのため、オフィスの延床面積を当初計画より7,000平米、会議施設も1,000平米、それぞれ増床し賃料収入に期待するようです。JR大阪駅前の一等地に位置することから、その期待が大きく裏切られる可能性は低いと見られています。
また、大阪神ビルは1963年に、商業施設・オフィスなどが入る新阪急ビルは62年にそれぞれ完成しました。建設から半世紀が経過し、老朽化が目立つほか、構造上、耐震補強の必要性も指摘されていました。
以上の理由を踏まえ新ビル建設計画が発表されましたが、デメリットも多くあります。
工事中は売場面積が大幅に縮小され、売上高の落ち込みが避けられません。そのため、近隣の百貨店のような競合店が阪神百貨店の入居ブランドを誘致する動きが出始めているようです。
入居ブランドの移転を少しでも食い止めるため、開業を早めたい百貨店は、工期の短縮を試みました。まず百貨店を営業しながら建設するため、工期を2期に分けました。その他、駐車場を設ける予定だった地下4階部分を省き、グループ所有の周辺施設の駐車場を活用し工期を短縮することに成功しました。
消費税増税後は景況感の後退が懸念されますが、阪神百貨店のリニューアルにより梅田の景気上昇に繋がる可能性があります。周辺の地価や賃料上昇が予想されますので今後も動向を注視する必要があると思います。