2014年7月9日

【改正電気事業法】  電力小売りの完全自由化

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家庭向けを含めた電力小売りを2016年に完全自由化する改正電気事業法が6月11日の参議院で可決・成立しました。

 

既に自由化されているのは、大口需要向け電力小売り事業である商社・自動車メーカーなどの大手企業、またガス・石油などのエネルギー関連会社、携帯電話・ケーブルテレビなどの通信会社、ハウスメーカー等です。
これまで一般家庭では、地域の電力会社からしか電気を買うことができませんでしたが、今回の改正で、2016年からは自由に電力会社を選べるようになります。

これまでの制度では、電力は地域ごとに設立された電力会社が独占的に供給することになっていました。電気料金は、電力会社がコストを積み上げる総括原価方式によって算定されます。電力会社間には競争がありませんから、利用者には選択の余地がなかったわけです。

 

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しかし今回の法改正によって、2016年以降、利用者は好みの電力会社から自分にあったプランを選択できるようになります。

経過措置として電気料金の規制は当面継続しますが、(※1)第3弾の法改正が行われ、料金が完全に自由化されれば、各社は自由な料金設定が可能となります。

 

ソフトバンクはすでに電力小売事業への参入を表明しています。

携帯電話やYahooの通信サービスなど既存商品と電力をセット販売する構想に触れています。

また太陽光発電で作った電気だけを買うといった買い方も可能となるでしょう。

 

しかし電力を自由化すれば、電気料金が大幅に値上がりすることもあり得るということを意味しています。また、自分が利用していた電力会社の経営が苦しくなり、別の電力会社に乗り換えなければならない事態が発生する可能性も否定できません。

 

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そこで、賃貸物件のオーナーや管理会社はどのように対策を練るべきでしょうか。

固定料金制を採用すれば、入居者にとっては光熱費の明確化により生活費のプランを立てることが可能、オーナーや管理会社にとっては、家賃収入とは別に電気小売事業者としての収益機会を手に入れることが可能です。

 
1戸あたりの標準電気料金が割り出せれば、建物1棟分まとめて大口契約により価格交渉ができるでしょう。入居者に対して電気料金を相場より安くすることで空室対策ができ、さらに差益を出せれば新たなビジネスチャンスとなります。

電力の小売り自由化は決定しましたが、送配電分離の最終案は決定しておりませんので、今後も動向を注視する必要があるでしょう。

 

 

(※1)第3弾の法改正
現在、大手電力会社の発電所の送電網から家庭や企業に直接発送電を行っていますが、分離後は、大手電力会社または新電力会社より送配電会社へ、送配電会社から家庭や企業へ発送電されることとなります。つまり、電力会社と家庭や企業の間に送配電会社が参入することになります。

その送配電分離の最終決定が第3弾の法改正となり、来年に予定されています。