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国土交通省は今月1日、第4回「ITを活用した重要事項説明等のあり方に係る検討会」を開催しました。
まず「ITを活用した重要事項説明(以下「IT重説」)」が検討されるメリットについてお話し致します。
1.不動産市場の活性化
遠方の物件への投資、海外からの投資増加等による不動産市場(および建設投資)の活性化
2.消費者の利便性の向上
在宅で契約でき、遠方の不動産契約・高齢者・障害者・海外赴任者等の利便向上
3.十分な説明による消費者保護の充実
消費者のペースで説明が受けられるため、より冷静な判断が可能
4.不動産仲介業者の経営の効率化
繁閑の差が少なくなり、経営が効率化
5.宅建主任者の多様な働き方(在宅勤務等)の実現
子育てや介護などの理由で在宅勤務等を希望する宅建主任者のニーズに合致
上記5つのメリットを見込んで重説のIT化が検討されており、年内には最終とりまとめが行われる予定です。
IT重説を活用することによってメリットだけではなくデメリットについても検討するため、7月の中間とりまとめについて意見募集結果と併せて議論された結果についてお知らせ致します。
募集された意見の結果は以下のとおりです。
都道府県、消費者団体等、不動産関連団体では
「消費者や事業者の同意に基づいて行なわれるべき」
「主任者のなりすまし等によるトラブルの増加が懸念される」
「取引類型の一部から段階的に試行し、検証を行なうべき」
等の意見が多く慎重派が多数を占めました。
それに対し不動産事業者、その他法人、個人では
「対面の場合と比べ、重要事項説明の理解度に差はない」
「記録を残すことで、消費者の理解度向上やトラブル防止に寄与できる」
「対面と比べて重要事項に関する理解度が向上することが期待できる」
といった推進的意見が多く述べられました。
上記結果を受け、IT重説は強制ではなく、取引当事者の選択に委ねられるものという点に留意しつつ検討を進めていくとし、12月の最終とりまとめの後1年から2年の期間を設け、IT重説を希望する事業者および取引主任者を登録した上で賃貸契約、法人間取引に限った社会実験を行い、その効果や事後的なトラブルの発生状況等を検証する提案が国土交通省よりなされました。
この実験では、消費者にIT重説に関する同意確認書と重要事項説明書を事前に送付、ITツールを用いて主任者証の提示や重要事項説明を行い、すべてのやりとりを録画し、実験・検証期間中保存、契約締結の一定期間後に消費者にアンケート調査を行います。
この実験実施について、2年という期間が長すぎることや個人情報保護の方法等、実施反対の意見も出されたため、次回会合までに再検討することとなりました。
IT重説が採用されることにより、海外や遠方の市場をターゲットにすれば、実際に物件を内覧することなく契約締結することも増えるでしょう。利便性の向上等多くのメリットはありますが、トラブルが増えることも懸念されます。
今後もIT重説について、取りまとめの結果をまたこちらのメールマガジンにてお知らせしたいと思います。
「ITを活用した重要事項説明等のあり方に係る検討会」の議事録等詳細はこちらよりご覧ください。