2014年11月12日

【追加金融緩和の発表】  不動産への影響とは

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10月31日、日本銀行より追加金融緩和が発表されました。
この金融緩和により、不動産にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

日銀の発表後の週明け11月4日には、不動産セクターの株が高騰しました。
三井不動産は3,810円の年初来高値を付け、金融緩和発表前より500円以上の急進となりました。大東建託は、発表前より2,000円以上高値の1万5,485円となり、11月6日は1万4,000円周辺を持続しています。

 

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では追加金融緩和の内容を順に見てみましょう。

○マネタリーベース増加額の拡大
年間約60兆~70兆円 ⇒ 約80兆円

これにより、民間金融機関の貸出余力が高まります。
不動産に対する融資の金利安が続いていたため、金利上昇が懸念されていましたが、今回の金融緩和により低金利の継続が予想されています。

○長期国債保有残高の拡大および平均残存期間の長期化
長期国債保有残高 年間約50兆円 ⇒ 80兆円
平均残存期間 7年程度 ⇒ 7~10年程度

○ETF買い入れ金額の増加
年間約1兆円 ⇒ 約3兆円

○REIT買い入れ金額の増加
年間約300億円 ⇒ 年間約900億円

東証REIT指数は、週明けの11月4日に1806.97となり、リーマン・ショック前の1800を超えました。昨年4月の金融緩和時に比べても、今回のJ-REIT買い入れ額3倍増は異例と言われています。

 

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注目すべきは、日銀が買い入れ期限を決めていない点です。インフレターゲット2%を達成するまで、900億円ペースが継続することを想定し、REITの価格を後押しするという意見もあります。
しかし、REITは分配金利回りが下がっており、個人投資家にとっては、長期保有による分配金利回り獲得よりも、銘柄の値動きで利益確定売りを行う短期サイドの取引になってくるという見方があります。REITの運用会社側は、増資し物件数を増やしたいところですが、すでに不動産価格が上昇し、ファンドなどによる購入も活発化し、物件取得が難しい状況が予想されるという意見もあります。

 

また、日銀の買い入れによって、投資口価格が上がりやすい状況がつくられ、運用会社は分配金利回り確保が必要になるため、東京以外の都市で多少利回りの高い不動産の取得に動くのではないかという予想もあります。

更に、4日に上がった不動産セクターの株価も6日には下がっており、今回の追加金融緩和で長期的に大幅な値上がりは無いとの見方もあります。
個人投資家向けの融資に関しても、金融緩和が行われた事で審査基準が緩くなる事は無いと思われ、あくまでも返済出来る人に返済できる額を貸付けるという現状の姿勢は変わらないでしょう。

 

物件価格が上がっていても融資姿勢が緩くならないのであれば、いずれは融資額と物件価格の乖離が広がり上昇はストップします。すでに限界にきているという意見も多くありますので、来季以降の相場の動きをしっかりとチェックする事が必要です。