2013年10月2日

【立退き交渉】  最大の焦点は「立退き料」

スタッフコラム(木下)

この記事は 2分32秒 程で読んで頂けます。

不動産賃貸業(大家業)に関わる仕事をしていますので、時々「立退き」のご相談やご依頼を受ける事があります。

個人的には立退きの仕事はあまり好きな部類の仕事ではないのですが、お客様からご相談やご依頼があれば、よほど無茶な案件でなければお受けします。
築後40年程度経過した文化住宅や、築年数不祥の戸建、中には店舗や倉庫等の立退きに関するご相談もあり、大家さん側と入居者さん側とのご意見をお聞きしながら妥協点を見つける作業になりますがやはり簡単な仕事では有りません。

個人的にあまり好きでない理由は色々あるのですが、1番の理由はこうすれば良いという正解が見つかり難い事にあります。

 

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借主、貸主共に事情がありますが、賃料の不払いや長期滞納などの理由でなければ圧倒的に貸主の都合による立退きが多いので、当然借主側は当初は難色を示される事がほとんどです。

学生や社会人の単身者の入居者であれば、近隣で次のお部屋を探してご提案すれば比較的スムーズにお話しが進むのですが、長年そのお部屋に住まれているご老人の方等では、お部屋への愛着があるのはもちろん、代わりのお部屋をご紹介しようにもご年齢やご収入、保証人になれる方が居ない、更にはご高齢の方の一人暮らしは敬遠される等の理由により受け入れてくれるお部屋が中々見つからない事もあります。

そして、立退き交渉の最大の焦点は「立退き料」の金額です。

ご存じの方もおられると思いますが、契約更新の拒絶(立退き)には「正当事由」が必要となります。

要は、貸主が建替えをしたいからという一方的な理由だけで契約更新の拒絶は出来ず、立退きを求めるだけの正当な理由が必要になります。そこで、立退き料を支払う事で一方的な更新拒絶であっても、正当事由が補完されるという考え方があります。

 

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しかし、ここで問題となるのが「立退き料は幾らにするのか」です。
貸主側は当然少しでも安くしたい、借主側は少しでも多く貰いたい、という利害が真っ向から対立した状態で、尚且つ借主側は必ずしも交渉に応じなくても良いという立場です。
更に立退き料には明確な規定が無く、互いの言い分が全くかけ離れてしまう事もよくあります。過去の事例や、裁判の判例などを説明しながら根気よく交渉する事が大切ですが、それでも妥協点が見つからない場合は裁判へ進む事になります。

現在、ある老朽化した医院の立退き交渉を行っていますが、かなり難航していますので、この案件は裁判まで進んでしまう事になりそうです。

次回のコラムではこの事例を詳しくご説明し、立退き交渉のポイントを皆さんにお伝えしたいと思います。