2012年9月26日

【競売】  占有状況によるリスク

スタッフコラム(堀口)

この記事は 3分4秒 程で読んで頂けます。

物件種別や取得目的にも寄りますが、自己所有物件及び収益物件としてご検討される場合の一戸建、区分所有マンションを例に挙げてみます。

まず、占有者及び占有状況は大きく分けて「所有者」と「その他の者」に分けられます。
「所有者」というのは、その名の通り競売を申し立てられている本人です。「その他の者」というのは、賃借人のことです。
「所有者」が所有しているケースでは、所有者が居住しているのか空家で占有しているのかでリスクが異なります。

所有者が居住している場合、建物の内部には必ず動産が多数残っています。この動産を誰がどのように処分するのかを知る必要があります。
所有者が動産を持って引越しをする又は自らの費用で処分を行うのであればいいのですが、基本的にはお金がない人なので期待は出来ません。
従いまして、強制執行まで行うことを前提に入札価格を決める必要があるでしょう。動産の量により変わりますが、戸建であれば約100万円程度を見込んでおかなければなりません。

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次に、「その他の者」が占有しているケースです。
自己所有のために物件検討するのであれば、占有者には退去して欲しいでしょうし、収益のためであれば居住し続けてもらった方がいいでしょう。賃借人の権利については、抵当権の設定前と設定後で全く異なって参ります。抵当権設定前の賃借人は、「最先の賃借権」となり落札した場合には、賃貸借契約をそのまま引き継がなければなりません。
もし、返還金があれば前所有者からは預り金を貰えませんが占有者には返還しなければ なりません。
賃貸店舗の場合、返還金が100万円以上ということも考えられますので気をつけなければなりません。

自己所有を目的として検討される場合は、賃貸借を引き継がなければなりませんので、目的を達成することが出来ませんので入札はするべきではないでしょう。

抵当権設定後の賃借人の場合、契約を引き継ぐ義務は生じません。従いまして、賃料が相場より著しく低い場合は退去してもらうことが可能です。
ただ、この時に落札してすぐに出て行って欲しいということは賃借人にとっては酷ですので6ヶ月間の明渡猶予が設けられています。

これは、所有権の移転完了後から6ヶ月間は次の場所を探す時間が必要なので引き続き住ませてあげなさいというものです。もちろんその間の賃料は頂けます。
収益物件として入札される方には、賃借人に出て行ってもらうことも賃貸借契約を新たに締結し、居住いただくことも可能ですのでおススメです。

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自己所有物件として入札される方にも6ヶ月の猶予期間があるのですぐには住めませんが、6ヶ月後には住む事が可能ですのでリスクは低いでしょう。

入札したいと思える物件があった場合、占有状況を確認し入札する目的が達成出来るのか?達成するのに費用が別途掛かるのか?を確かめてください。

他にもここでは紹介を省いておりますが様々な占有状況や物件を取り巻く権利関係があります。出来る限りメリット・デメリットを把握し入札すれば競売はお得な買い物であります。

どうしても売却基準価額に目が行きがちですが少し冷静になって、まずは物件を取り巻く権利関係を知ることからめて頂きたいと思います。