2017年1月18日

【賃貸管理】  家賃滞納 連帯保証人に対して請求できる範囲とは

スタッフコラム(堀口)

この記事は 3分27秒 程で読んで頂けます。

不動産賃貸業を行っていますと、入居審査を慎重に行っていても必ず家賃を滞納する方に遭遇するでしょう。

 

 
今回は、その場合にどこまでを連帯保証人に対して請求出来るのかをお話させて頂きます。

 


一般的に賃貸借契約書には「連帯保証人は、借主と連帯して本契約から生じる借主の債務を負担するものとする。」と記載されています。このことから貸主は借主の債務であれば全て連帯保証人に請求してよいと考えるでしょう。

 

しかし、性質上、連帯保証人に請求出来ないものもありますので気を付ける必要があります。

 

 

まずは、貸主が連帯保証人に対して請求出来るものから見ていきましょう。
1.賃料請求
2.遅延損害金
3.賃料相当損害金請求
4.借主が建物や設備等を損壊した場合の損害賠償請求
5.原状回復義務の履行請求

 
上記1から5は賃貸借契約書に記載されているものですので、借主が支払わなければ連帯保証人に対して当然に請求出来るものです。

連帯保証人に対して請求した時、「先に借主本人に言ってくれ」と言われることもあるかと思います。

 

しかし、連帯保証人というのは借主と全く同じ義務を負いますので、借主と連絡が取れない、定期的に滞納する借主の場合、借主より先に連帯保証人に請求しても構わないのです。

 

 

それでは次に連帯保証人に対して請求出来ないものを見てみましょう。

 
1.建物明け渡し請求

建物の明け渡しは、建物を実際に使用している借主だけが義務を負っているため、連帯保証人に対し請求し、連帯保証人が借主の代わりに建物を明け渡すことは出来ません。

仮に契約書の中に、「借主が建物内に残置した動産があるときはその処分、建物の明け渡しに関する一切の権限を連帯保証人に委任する。」という条項があったとしても、その合意自体が問題になります。この条項を基に連帯保証人の同意を得て借主の残置動産を処分し、建物明け渡しを実行してしまうと借主から損害賠償請求を受ける可能性が御座います。

 

 

2.借主に対して強制執行手続きを行うのが容易な場合に、あえてそれを行わず、増大させた賃料相当損害請求

連帯保証人は、原則借主の家賃滞納が長期間にわたって継続し、滞納額が増大になったとしても滞納家賃の支払い義務を免れることは出来ません。
しかし、連帯保証人としては滞納が高額になる前に貸主に借主との契約を終了してもらいたいと考えるでしょう。

 

このような場合、連帯保証人は、借主の滞納状況を知った時点で将来の保証債務を負わない旨の意思表示をすることで、連帯保証人の責任を免れる場合があります。
その為、借主に強制執行が出来るのにそれをせず、滞納を増大させて連帯保証人に請求する場合には、信義則に反して許されないのです。

 

このような請求出来ないケースを作らないためには、滞納が2ヶ月目になった時点(借主に寄っては滞納1ヶ月であっても)で連帯保証人に対してすぐに請求を行うべきでしょう。
また、連帯保証人の資力に寄っては、速やかに強制執行の手続きに進んで行くことも必要だと考えます。

 

 

 

強制執行と聞くと、費用も時間も掛かるというマイナスイメージしかありませんが、少しでも未回収分を少なくする為には大変効果的だと思います。