2013年2月20日

【判例】  自殺の告知義務範囲は

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自殺の事故賃貸物件について、事故が起こった後の最初の賃貸人だけに伝えればよいのか、その後の賃貸人に対しても伝える必要があるのか、また隣室の入居者には伝える必要があるのかといったご相談を受ける事があります。

今回ご紹介するのは、よく行われている自殺された入居者の連帯保証人に対して損害賠償請求をされた事例ですが、損害賠償の内容ではなく、告知義務に関して1つの判断がなされた事がポイントです。

賃貸物件内において自殺した賃借人の相続人及び連帯保証人に対して、賃貸人が賃貸借契約の債務不履行及び連帯保証契約に基づき損害賠償を請求した事案がありました。(平成19年8月10日判決)

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この判決の中で、近所付き合いが希薄であることを理由に、自殺が起こった事実を本物件の他室入居希望者に知らせる義務がないと判断されました。
賃貸物件で自殺事故が起こった場合、告知義務の範囲について問題が生じます。この事例では上記の疑問に対して一定の基準を示しています。

結果として告知義務が生じるのは本件物件の事故後の最初の賃借人に限定しています。
最初の賃借人がごく短期間で退去したというような特段の事情が生じない限り、次の賃貸人には、自殺事故の事実を告知する義務はないとしました。
さらに、本件建物の他の部屋を新たに賃貸する際、賃借希望者に対して本件物件内で自殺事故があったことを告知する義務もないとしました。

他室入居希望者に知らせる義務がないと判断された理由として、東京都区内という人の入れ替わりの多い大都市部のワンルーム物件で、近所付き合いも相当程度希薄であると考えられた上、世間の耳目を集めるような特段の事情があるとも認められないとされています。
一般に、宅建業法では隣接住戸の自殺事故について知っている場合は、原則として、説明義務があると解しています。

よってこの判決は、事例判断の面が強い地裁判決であって、確立された基準とまでは言えるものでは有りません。

しかし、自殺事故物件の媒介における説明義務について、ひとつの考え方を示したものとして参考になるのではないでしょうか。